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「なんだー、ミハイルの親戚か」
「えらく似てると思ったよ」
ゲラゲラ笑いながら、総勢5名が牢屋の中で座り込んでいる。
約1名魔女のマリーだけがシンシアと一緒に木製のベッドに座り、背伸びをした。
「じゃあ、スクロールの事故で飛ばされてここに閉じ込められちゃったってわけか~。大変だったわね」
マリーが肩をすくめて、
「シャガルの牢屋なんか縁起でもないわね。さっさとオサラバしなくちゃ」
「大穴はどうするんだ?」
後ろにできた大きな穴を眺める面々。
「そのままで良いというわけには参りませんよね? なにせ人様のお城ですし・・・」
何処かズレているシンシア王女。
「メルちゃんどうしましょうか?」
声を掛けられたメルヘンは髭がへにゃんと下がる。
「吾輩に言われましても・・・。シンシア様がここにいるのはこの城の者は誰も知らないわけですし・・・ そのままでも良いのでは・・・・」
と、メルが答え終わる前に、何やら部屋が小刻みに揺れ始める。
「あれ? 地震?」
マリーが天井を見つめるが、
「うわ、ヤベえ! 床が崩れてく」
マリーの弟、弓使いのジューンが亀裂を指差し叫ぶ。
亀裂がゆっくりとまた広がり始め、床を少しずつ崩し始めたのだ。
「あ。坑道が城の真下通ってるんなら、この城の地盤って凄く弱いんじゃ・・・」
ガラガラと音を立てながら少しずつスピードを上げ広がっていく穴を全員で見つめて、
「「「「「やべ」」」」」
「バレたらどーすんのよっ!」
「あらあ、崩落が始まりましたわねえ」
「・・・・・・はぁ」
メルがため息をつくと、
「それでは皆様ご一緒に、この城の外迄お連れしましょう。取り敢えず神殿へ参ります」
全員の各足元に金色の小さな魔法陣が展開する。
そして。
牢屋の中には最初から何もなかったように人の姿はなくなったが、ガラガラと音を立てながら穴は広がり続けるのをやめなかったのである・・・
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