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「あら、じゃあ、お爺様と叔父様に宜しくね」
ミリアンヌを見て微笑むシンシア王女。
「はい、シンシア様もお元気で。陛下に宜しくお伝え下さい」
彼女が恭しくカーテシーを披露すると、足元にキラキラ輝く転移魔法陣が広がった。
「それでは皆様御機嫌よう」
そう言うと小さな妖精のような姿が消えてしまう。
「あの方、一体どなたですの? シンシア様のお部屋に居たのでハイドランジアから来た護衛の魔術師かと思ってましたわ」
ポカンと呆けた顔になるロザリア皇女に困った顔で答えるシンシア。
「あの方は神殿の方で、暫くの間護衛をして頂いた方ですわ。隠蔽魔法で姿はほぼ消しておりましたけれど、1度だけ夜会に護衛として付き添っていたので、ロザリア様も1度はお会いしておられますわ」
「そういえば・・・ 居ましたか?」
シンシア王女の顔ばかり見ていたのでどうやら他は覚えていないらしい。
「そうですか。覚えておられないのですね」
ちょっとだけホッとしたシンシア王女である。
「歳の近い子とはあまり接点がないから新鮮だったわ。貴族らしく無くて可愛かったわね。また会えたら良いのに・・・」
「ああ、あの方は確かに貴族ではありませんわ」
それと――
仲良くしないほうが良いかもしれませんよ、恋敵ですからね。
と思ってはいたが、黙って微笑むシンシアとリンダであった。
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