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9話 有言実行ってこういう事♡
「ち、ちちちち父上ッ?」
「チチばっかり言いやがって、そんなにおっぱいが好きなのか?」
真剣な顔で顎を擦りながら息子の顔を覗き込むグエン。
「チチッ!? 違いますッ!」
カイル皇太子だけが、別に驚いた訳では無い。
周りにいた重鎮もティリアも目のサイズは3倍位には見開いている。
「お前が帰ってきたら即帝位は譲るつもりでいたんだ。俺が別に居なくても帝国はやっていける位にはもう整ってるだろ? 実際俺はずっと帝都には居ないことが多いからな」
ガハハハと笑う皇帝陛下を全員が見つめる中、ガッチリ腰を抑えられているシンシアだけが、隣でニコニコ笑っている。
「シ、シンシア様はこの事をご存知だったので?」
思わずシンシアに声をかけるのは、シャルム宰相である。
「? いいえ。全く。今陛下が仰ったのを聞いたばかりですわ?」
「だよな~ シンディ♡」
ヘラリと笑いながらシンシアの旋毛にキスを落とす色男。
「陛下ぁ・・・」
ニヤリと笑うグエンは重鎮達の顔を見回す。
「シンディは、俺と結婚してくれるんだ。トリステスの皇帝と結婚すんじゃねえよ。な?」
「フフ、そうですわ。陛下が皇帝だろうが、下男だろうが関係ありませんの。私が愛した方はグエン様そのものですもの」
彼女はそう言って花の咲くような微笑みを浮かべてグエンの冬の空のような不思議な虹彩を湛えた瞳を覗き込んだ。
「合格だシンディ」
彼はシンシアの手の甲にキスを落とした・・・
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