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「シンディ?」
「はい?」
「一生一緒に居ような? 死ぬまでずっとだ」
グエンは泣きそうな顔をしているが、彼女の頭の上に顎を置いているのでその表情をシンシアは見ることは出来ない。
「勿論ですわ。死が2人を分かつまで・・・ いいえ、死んだとしても貴方様から私は離れませんわ」
腕の中でくるりと彼の正面に体を回して腰に両手をまわす。
「ずっと愛してますわ」
「俺もだ」
2人はギュッとお互いを抱き合い唇を寄せ合おうと・・・・
「お取り込み中申し訳ありません閣下、部屋を教えて頂けなければシンシア殿下のお着替えを運び込めませんのでお教え頂けるようお願い致します」
足元で、白い猫が恭しくいお辞儀をした。
「「居たんだ?!」」
「勿論で御座います。シンシア様は未だハイドランジアの王女殿下で御座いますゆえ、吾輩の護衛対象ですので。さて、お部屋さえ教えて頂ければ滞りなく旅を続ける為のお着替えを皇城から運び込んでおきます」
苦笑いをしながらグエンは、後ろ足で優雅に立ち上がる聖獣に船のチケットを渡した。
「了解です。それでは続きはお2人でゆるりとお楽しみ下さい」
メルヘンは優雅にお辞儀をすると、あっという間にキラキラとした余韻だけを残して消えてしまった。
グエンとシンシアは顔を見合わせて
「「世界中何処に行っても安全なのかも?」」
思わず声を揃えて笑ってしまう。
「でも、グエン様?」
「うん?」
「貴方さえいれば私は幸せですわ」
そう言って彼女はグエンの頬に背伸びをしてキスをした。
「俺もだ」
そう言ってグエンは微笑んで。
やっと2人は、世界一幸せなキスをした――
~fin~
2023.7.4
by.hazuki.mikado
「引きこもり王女の恋もよう~ハイドランジア王国物語~」
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長いお話をお読み頂きありがとうございました(_ _)
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