引っ越してきた隣人と謎の老婆

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引っ越してきた隣人と謎の老婆

休日のある日、特に予定もなく部屋でぼーっとテレビを見ていると、隣の部屋から物音や声が聞こえてきた。 (あれ?隣って誰も住んでなかったよね・・・誰か引っ越してきたのかな。) 子供の声も聞こえてくる。 ちょっと時間が経ってコンビニに買い物に行くため玄関を開けると、隣の部屋に引っ越し業者が家具を運んでいた。部屋の中から子供の笑い声と、女性の話声が聞こえてきた。 (やっぱり引っ越してきたんだ。) コンビニから帰ると、まだ隣の部屋には人の出入りが続いていた。 あれ・・・? 隣の部屋の玄関から引っ越し業者の人に紛れて老婆が出てきた。 (おばあちゃんもいるの?・・・違う、この世の人じゃない。) よく幽霊は足がないとか、透けて見えるとかいうけど、私が見てきた霊はみんな足もあるし、透けてもない。だからパッと見は生きてる人と変わらなく見えるけど、よく見ると顔色や言葉で説明するのは難しい、生きてる人と違う違和感のようなものがある。 この老婆も明らかな違和感があった。70代後半から80代前半くらいに見える。 私が見えてることに気付いていない。気になるけど嫌な感じはしないし、声はかけなかった。 その日の夜、20代後半くらいの女性と小さい男の子が訪ねてきた。 「遅い時間にすみません。隣に引っ越してきました。よろしくお願いします。母子家庭なんで子供がうるさくてご迷惑をおかけするかもしれないです。」 「あ、全然気にしないでください。こちらこそよろしくお願いします。」 「これ、良かったら召し上がってください。」 女性からミスドの詰め合わせをいただいた。 「ありがとうございます!」 「バタバタしていて、このくらいしか用意できなくて。」 「いえいえ、私ミスド大好きなんでありがたいです。」 そんなやりとりをして、親子は帰った。帰り際、隣の部屋の入口から老婆が顔を出して親子の様子をうかがっているようだった。 (なんだろう。前からあの部屋にいたのかな?でもここに引っ越してきてから あの老婆は一度も見たことがないけど。まぁいいや。でも隣の人、いい人でよかった。私と年齢そんなに変わらなそうだけど一人で子育て頑張っていて偉いな・・・。)
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