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隣人と接触
「ママー!」
老婆と会話している最中、外から子供の泣き声が聞こえてきた。老婆の表情が曇る。急いで玄関を開けると、玄関の前で男の子が泣いていた。
「どうしたの?」
「ママに出ていけって外にだされちゃったの。僕が悪い子だから。」
「そんなことないよ。悪い子なんかじゃないよ。」
母親が玄関のドアを開けて、私を見るなり男の子の手を引っ張って部屋に入れようとする。
「もういいから、入って。」
「あの・・・」
「余計なことしないでくれます?うちの子のことは放っておいてくれればいいんで。」
「ちょっと待ってください。お話ししたいことがあるんです。」
自分の鼓動が速くなっているのがわかった。幽霊と会話するより生きている人間と会話するほうが怖いかもしれない。
「実は私、亡くなった方の霊が見えるんです。」
「はい?」
「急にごめんなさい。信じていただかなくてもいいです。でもあなたのおばあちゃんがあなたとお子さんのことをとても心配していて、ずっとここにいるんです。」
「私達がいつもうるさくしてるから、嫌がらせのつもりですか?この前の通報もあなたですか?」
横で私達のやり取りを見ている老婆が急に私に自分の名前を伝えた。
「嫌がらせでもないし、通報も私ではないです。あなたのおあばちゃんの名前、あやこさんではないですか?」
彼女の表情が固まる。
「・・・あなた何?なんでおばあちゃんのこと・・。」
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