1人が本棚に入れています
本棚に追加
母さんが韓国へ旅立って2日目。
私は、ちょっと遠い友人の家へ遊びに行った。
うるさいのもいないし、家族一同ここぞとばかりに羽を伸ばしている。
友達の家を出て自転車を走らせていると、
前方に「なかよし橋」という、ひねりのない名前の橋が見えた。
橋の上に誰か人がいる。
ちょっと恐い。
でも橋に近づいてゆくと、それは熱烈なチューをしているカップルだった。
さすが、なかよし橋。
ああいうカップルに限って、ぶっさいくなんだよなーと思いながら見てみると、
…智樹!!!
慌てて相手の女の顔を見た。
もちろん、ミミじゃない。
自転車がひっくり返りそうになりながら、何度も何度も振り返ってしまった。
翌朝、どう切り出したものかと思いながら教室へ入ると、
ヨッシーが腰に手を当てて、ミミをにらんでいる。
ノンは苦笑い。
ミミは泣きそうな顔をしながら、下を向いたままだ。
「ど、どうしたの?」
ヨッシーは、うんざりしたように言い放った。
「さっさと決着つけないなら、もう話なんて聞かないって言ったの!」
そうそう、ヨッシーはロリコン寺西と別れた。
ヨッシーがロリコンのマンションに行ったら、
玄関ホールで、鼻歌まじりの高校生とすれ違ったそうだ。
「その鼻歌が『バグダッドカフェ』のテーマ曲だった」
それはロリコン一押しの映画。
「その時、全てを悟った」・・・とのことだった。
「で、でもぉ…本当に浮気してると思う?」
この期に及んでまだ、そんなことを…
言わずばなるまい。
私は、昨夜見たことを正直にしゃべった。
ミミの顔つきが、みるみる変わってゆく。
いつものベビーフェイスがどっかにすっ飛んで、見たこともない精悍な顔つきになった。
ミミは、智樹が浮気してるなんて、これっぽちも信じていなかったんだ。
ただ、その可能性をもてあそんでただけなんだって、
ようやく気がついた。
最初のコメントを投稿しよう!