ローズマリー

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翌日、私はテラスに荷物を置いて、車で送ってくれるというパパを待った。 広い庭…。 海も見えるし、最高だね。 鶏のアラレちゃんとガッちゃんが放し飼いにされていて、その辺りの草をついばんでいる。 テラスでは、マナカが電話で盛んに友達と話している。 その声が、ふいに小さくなったので、私は逆に聞いてしまった。 「だって、あんまりハーブとか好きじゃないんだよねー。くっさいじゃん?」 アラレちゃん、 ガッちゃん、 ヤれ。 車が来た。 優斗も表に出てきた。 館山駅から千葉駅までの道中、マナカと二人きりなんて…あーあ。 マナカがまず乗り込んで、後から乗ろうしたら、優斗が私の腕を引っ張った。 「なになになに!?」 「お前は、昼も食べてくの!」 「ひ、昼?」 優斗が、車の扉を閉めた。 しめし合わせたように、車が急発進する。 マナカが目を見開き、口をパクパクさせているのが見えた。 な、なんなんだ… 遠ざかる車を見ながら、茫然とした。 ぐっ…と、 デカイ手で肩を抱かれ、家の方へ押しやられた。 「動画見せるから!」 優斗が断固とした口調で言った。 肩が熱い。 声が頭に掛かる。 背中に胸板が当たっている。 私は、 『おとうと』 という文字がバリバリ割れて、崩れ落ちてしまうのを感じた。   「…動画?」 と、私は上の空で聞き返した。 「大会の!」   あ・・・そう。 としか言いようがない。 相変わらず、ナルシストだなぁ。 でも、なんだろう?なんだろうね。 この誇らしい気持ちは。 私は当然のように再び家へ向かい入れられ、お昼にシーフードカレーをご馳走になった。 もう誰に気後れすることもなく、楽しく会話して、 ママからアラレちゃんの産んだ卵をお土産にもらった。 「楽しかったわ。また遊びに来てよ」 「はい」 荷物を網棚に載せ、 卵の入った小さなカゴを抱きながら電車に揺られた。 内房の海がキラキラと輝く。 大事に大事に持って帰ろう。 どうか、家に着くまで割れませんように。 家に帰ってお礼を打つと、すぐに優斗から返信があった。 ~また来い (絵) ~母ちゃんがお前のこと面白いって (絵) ~親父が『笑いすぎると腹の赤ん坊がびっくりする』って (絵) (絵) (絵) なんと6人目!!!
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