トワとセツナ

9/9
前へ
/147ページ
次へ
「十和……」 雪那は歩いている足を止めると、十和の方へ視線を向けた。 「——俺達二人が力を合わせれば、きっと俺達の知る歴史より ほんの少しでも良い未来を作れるんじゃないかと思う。 俺はこの時代で、大切な主君と家族を得られた。 そして——十和に出会えた。 俺は三成様も家族も、そして十和のことも守りたい。 だから……十和と一緒に歴史を刻んでいきたい」 「……うん。 雪那と一緒に前へ進みたい」 二人は手を繋ぎ合わせると、 三成や里子達が待つ近江へと再び歩き始めた。 ここから先の未来は、決して平坦なものにはなりえないだろう。 不要な血が流れることや、望まない結末を迎えることもあるかもしれない。 しかし十和と雪那は覚悟を決め、茨の道を進むことを選んだ。 自分達の帰る場所を、自分達の願う未来を奪われないために。 この世界で新しく紡がれて行く歴史を知る者は、誰も居ない—— 完
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加