吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  弍 夏凛誘拐される

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時間はたいしてかからなかった。 そして、辺りを隈なく探していた所、 夏凛さんの履いていた、ヒールと思われる 物が道の片隅に落ちていた。 それを拾い上げてみるとそれは、夏凛さんが あの日履いていたヒールだった。 匂いを嗅いでみてもその匂いは、明らかに 夏凛さんの物だった (僕の嗅覚は犬並みなのだ、姉貴に よく気持ち悪いと言われていたが) 昨日、確かに夏凛さんはここに来た。 しかし、この後の行先が解らない。 この後をどうすればいいのか 途方に暮れてしまった。 ここで、ふんづまってしまったので、 もう一度あのタクシーの 運転手に会いに行ったのだが、客を乗せて どこかに行ってしまったみたいなので、 暫く駅前のロータリーで待つことにした。 30分程して、あの運転手のタクシーが 戻ってきた。すかさず、傍に行き 今行ってきたことを告げると、 「あんちゃん、行くのが早すぎるよ、 まだ話すことがあったのによ」 「え~~っ!!そうだったんですか!! その続きの話とはなんでしょうか?」 「俺はよ、あの姉ちゃんに少し 待っててくれと言われたから まっていたんだが、直ぐあとに車が来て あの女性と知り合いだから、 後は僕が乗せて行くから 待っていなくていいですから、 と言われて、チョットむかついたけど 帰って来たんだ、でもその車は、 俺のタクシーの後をずっと付けて 来ていた奴なんだよ、 俺も、何だあの車?後を付けてきているのか? なんて気になっていたから おぼえていたんだよ、 車種は、軽のワンボックスタイプで 「メーカーはニッ〇ンの軽自動車、 だったかな、 ナンバーも覚えている、 練馬、す、57〇1だったな 俺、物覚えは良いんだぜ」 運転手が教えてくれた。 「ありがとうございました、 これで調べることが出来ます、 本当にたすかりました。 これは、少ないけれどもお礼です」 そう言って、運転手に封筒を渡した。 中には一万円札一枚を入れて・・・ 運転手も喜んでくれて、 また何かあったら何時でも 来なよと言ってくれた。 僕も、何だか夏凛さんに似て来てるな なんて、思ってしまった。 (夏凛さんとは、金額が違うけど・・・) この後は、この車のナンバーをある会社に 頼んで調べてもらうだけ、個人では、 調べられなくなっている、夏凛さんの話では ちょっと前までなら調べられたようだが、 現在は、ストーカーだとか、詐欺まがいの 事件に繋がってしまう、と調べられなく なってしまったらしい。 ただし、報酬がちょっとばかりお高い。 でも、今はそんなこと言っていられない、 何とかして、夏凛さんを見つけ出さなくては、 なんとしても・・・
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