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その業者には前に夏凛さんが何度か
依頼していたことが
あって、話が早かった。すぐに調べて
くれるようで1日ほど待ってくれと言われ、
僕は事務所で待機していた。
その、待っている間に矢板さんに連絡を
入れたのだが相変わらず携帯にはでない、
どうしてしまったんだろうか
矢板さんの事も心配になってきた。
どのような仕事で北海道まで
行っているのだろうか?
あの人は、フリーのライターだから
問い合わせることもできない。
事件や事故に巻き込まれていなければ
いいのだが・・・
何も出来ないでいるのが歯痒い。
しかし、今は待つしかない。
夏凛さんが無事でいる事を願わずには
いられない、今は願う事、それしか出来ない。
行方不明になって、丸一日以上過ぎた。
自分の無力さに腹が立つ。
こんな時夏凛さんなら、どうするだろう、
男女関係には、思い切り疎いが(僕もだが)
いざとなると、凄いなこの人は
と思わせるような事を考え出す。
僕にはそれがない。今この時間に
何か出来る事があるはずだけど、それが
思いつかない。
今の僕に夏凛さんは、姉のような存在?
いや、それ以上かもしれない・・・
バンクシーのネズミのようになりかけていた
僕を救ってくれた。
探偵事務所の所長とその助手という
関係だけれど、今の僕には夏凛さんは
姉のような・・・いや、それ以上の
感情を僕は持っているのかも知れない。
でも、あの人には矢板さんがいるし・・・
所詮、僕に夏凛さんは高嶺の花だから。
でも・・・・・・
何だろう、とても胸が苦しくなって
来た。こんな症状初めてだし、こんな
気持ちも初めてだった。
僕は、夏凛さんの事を・・・・・・
いや、矢板さんがいるじゃないか!
僕がそんな事考えちゃいけない!
「しっかりしろ!缶助!」
自分で頭を叩く。
今は夏凛さんを探す事に専念するんだ!
夏凛さんが行方不明になって
50時間以上過ぎた。
気持ちばかりが焦っていく。
今晩も事務所の電話機の前であれこれと
考える。
それにしてもお金目当てなら
犯人が連絡してきてもいいはずだが、
何故、連絡がこない?
どうなっているんだ?
時刻も22時を少し回ったところ、
その時、事務所の電話が鳴った。
すぐに電話を取る。
「呑辺探偵事務所です!」
「先程はどうも、〇〇調査所ですが
車の持ち主がわかりました。
お急ぎのようでしたのでお電話
差し上げました、
車の所有者は、剣持 孝彦
住所は、東京都大田区、、、、、、、、
です」
「わかりました!ありがとうございます
すぐに行って調べてみます。
早く連絡もらえて、助かりました!
ありがとうございました!」
電話を切り、すぐにその住所のところに
向かった。
約、1時間ほどで目的地に着いた。
古いアパートの一階の角部屋。
玄関の郵便受けにはいろいろな物が
入っていて、借金取りだろうか、
なんだか、色々な物が貼られていた。
金返せ!だとか、連絡よこせだとか、
何だかだいぶ借金があるような
感じだった。
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