吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  弍 夏凛誘拐される

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朝になった、また事務所の電話機の 前で寝てしまった。 今日で3日目になる、夏凛さんは 大丈夫だろうか、早く見つけなければ 身体の方も心配だ! 時計を見ると、7時を過ぎたところだった。 そこに、携帯に電話が来た。 見ると、昨夜の闇金業者の人からだった。 すぐに電話に出た。 「昨夜のあんちゃんか? 剣持が見つかったよ、 大田区の潰れた工場に入るのを、 うちの若いもんが見たらしい、俺たちもすぐに 向かうからよ」 「すみません、ちょっと待ってください、 もう少し、泳がせて、奴が言っている お金が入ってから、押し込んだ方が よくないですか?そうすれば 取りっぱぐれも無くなりますし 悪いことして稼いだ金なら捕まるのは 奴だけで、いいんじゃないですか?」 闇金業者は、少し考えているようで 「それもそうだな、 金を掴んでからの方がいいか、 あんちゃん頭いいな」 「いやそれほどでも、それで場所は どこなんですか?」 闇金業者の人がその住所を教えてくれた。 「それでは、張り込みの方お願いします」 と言って電話を切った。 その後すぐに事務所の電話がなった。 その電話は、夏凛さんの父親からだった。 「夏凛は、いるか?」 といきなり聞いてきた。 もしかして、犯人から電話が来たのでは と、直感した。 「夏凛さんの、お父様ですね、 今から僕の言う事を、落ち着いて 聞いてください、夏凛さんは、今 ある男に拉致されています。 多分その男からの電話で お金を用意しろと言われたのでは ありませんか?」 「君は、夏凛の助手の関谷君だな?」 「はいそうです、夏凛さんはここ3日ほど 行方不明になっていました。 でも、ついさっき居場所を、突き止めました。 僕は、これからその場所に行って 夏凛さんを助け出します。 ですから、お父さんは犯人の言う通りに して下さい、お金は必ず僕が夏凛さんと 一緒に取り返します。 警察には知らせたのですか?」 「まだだが、君にそんな事ができるのか?」 「はい、僕の命に変えても 夏凛さんをお守りします。ですから 僕を信じてください。 犯人は、剣持孝彦と言って、単独犯です 剣持が、お金を取りに行ってる間に 僕が夏凛さんを助け出しますから お約束します。必ず助けますから 僕を信じてください、お願いします、 僕が、踏み込む時にお父さんに 連絡します、その時に警察に連絡して下さい それでは、これから行きますので よろしくお願いします」 電話を切って、僕はすぐに 犯人の潜んでいる工場後に向かった。 NSXでは目立つので、 すぐ近くのレンタカー屋で車を借りて いく。 「夏凛さん!待っていて下さい 僕が助けに行きますから! もう少しの辛抱です」 と、車の中で独り言のように つぶやいた。 廃工場に着いた。 少し離れたところに車を止め、様子を 伺う。 10分ほどすると、中から男が出てきた。 そこは、工場というより、倉庫か何かで 使っていたような建物だ。 男はキョロキョロしながら脇に停めていた 例の軽自動車に乗り、出かけて行った。 僕はすぐに、夏凛さんの父親に 電話をした。 今、男が出かけました。 取引に向かったんだと思います。 僕は、これから建物に忍び込んで 夏凛さんを、助け出します。 警察に知らせてください、場所は 大田区、、、、、、、の廃倉庫です。 それじゃ、お願いします」 電話を切り、僕は中に入って行った。 中は、明かりもなく暗く天井付近の窓から 外の明かりが入るだけだった。
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