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5、夏凛、救出!缶助の最後?
携帯のライトを頼りに、男が付けた
足跡をたどる、足跡は頑丈そうな
扉の前で消えていた。
夏凛さんは、この中にいるようだ。
扉の丈夫そうな留め金を外し
中に入った。中は暗く、しかし奥の方に
明かりが見えた。他に仲間がいないか
確認しながら進んでいく、
明かりがあるところに椅子に座っている
夏凛さんがいた。
「夏凛さん!」
「か、缶助!!!」
夏凛さんは、僕に飛びついて
泣き出した。
「助けに来ました。
もう大丈夫です、さあここから
逃げましょう!僕の後についてきて下さい」
そこで、入口のドアが開く音がした。
「まずい!誰か来た!」
急いで、夏凛さんを椅子に座らせ、
「し〜っ」と言って唇に人差し指を当てる。
すかさず物陰に隠れた。
男がそばに来た時に、思い切り体当たりを
かました。男はすっ飛んだが、
僕も倒れ込んでしまった。
夏凛さんが慌てて僕のところにきて
「缶助~~!大丈夫かっ!!」
と言いながら、僕を起こそうと手を差し伸べる。
「いててて」と起き上がったところに
男が何やら光るものを手に持ち
夏凛さん目掛けて突進して来た。
僕は、夏凛さんを横に突き飛ばした。
その途端、僕のおなかの辺りに激痛が
走った。男は包丁のような物を手にしていた。
その時の僕は、痛みも忘れ、男が呆然
としている所にまた、体当たりをして、
男の上に馬乗りになった。
そこで、「むしり缶助」奥義!!髪むしり!!
鼻むしりを連続で男に対して攻撃していた。
男も、包丁を振り回していて僕の腕や、
胸がまた切られてしまったが、
男の髪を持って床に何度も何度も
叩きつけていた。その内、
男はうごかなくなった。
その時、初めて激痛を感じた。
僕も、男の横に倒れこむ、
「か、夏凛さん、怪我はないですか?」
自分の事より、夏凛さんの事が心配だった。
「私は、大丈夫よ、それより缶助!貴方の方が」
「ぼ、僕は、大丈夫です、か、夏凛さんに
怪我がなくて良かったです、もうすぐ
夏凛さんのお父さんが来てくれますから・・・・・・」
そこで、僕の意識がなくなった。
*************
「缶助!缶助!!血が止まらない!
どうしよう!!誰か!!!誰か来て!!
缶助が!!缶助が死んじゃう!!
だれか~~助けて~~」
「夏凛!!どこだ!!どこにいる!!
返事をしろ!!夏凛!!」
「父さんだ!!!」
「父さんここよ!!
缶助が、死んじゃう!!
助けて父さ~~ん!!」
「夏凛!無事だったか!!」
「私より、缶助をたすけて~!死んじゃうよ
血が止まらないの」
「すぐ、救急車が来るはずだ、しっかり傷口を
押さえておけ!」
*************
救急隊員が来て、缶助に応急処置をして、
担架に寝かせ、そして救急車に乗せて、夏凛と
父親と一緒に病院へ急行した。
缶助の、傷はわき腹から背中に抜けるほど
深く刺されていた、その他に胸に裂傷、
腕にも裂傷をおう、大怪我だった。
ここまで、大量の血液を失った
缶助は瀕死の重傷を負ったのだった。
一方、犯人の男は警察に
監禁、及び銃刀法殺人未遂で、
逮捕され連行された。
男は、やはり剣持孝彦だった。
病院に着き、緊急手術。
A型の輸血の血液が足りないとの事で
直ぐに手配されたが緊急を要する。
夏凛が自分はA型だから私から血を
抜いてくれと医者に懇願した。
父親もA型で自分から
も血を取ってくれと医者に言っていた。
夏凛は身体も弱っていたので、
血を抜くことは出来ないと医者に
言われたのだが、泣きながら
医者に頼み込む、
「私の血をどうしても使って欲しい」
と・・・・・・
緊急を要したので夏凛の血液も缶助に
輸血された。
父親からも血をもらった缶助だった、
何とか一命を取り留めたが、
医者が言うには、今日明日が
山だと告げられた。
急遽、缶助の実家に連絡をする。
両親と姉がその日の夜に病院に来た。
ICUのベッドで眠る缶助に、
母親と姉が涙を流しながら
見つめている。
缶助の父親が聞く
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