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夏凛さんの部屋のドアをノックする。
「夏凛さん、どうしたんですか?
出てきて下さい、まだ仕事中ですよ
(仕事などないが)」
すると、ドアが開いて夏凛さんが
顔を出した。
「缶助、ごめん。これで
電話機を買ってきてくれ」
と言って、僕の目の前に帯がついたままの
一万円札の束を出した。
百万円の束だろう。すべてピン札・・・
「この中で一万円札を偽造でもしているのでは」
と思わせるような、突然の札束
宝石を散りばめた、電話機でも買ってこい、
とでも言いたいのか、
「いくらなんでも、こんなに要らないですよ
2~3万円あれば充分ですから」
そう言ったが、
「おつりは缶助にあげるよ・・・・・・」
かなり、重症だ!それとも気が振れて
しまったのか、頭の回路が壊れたのか、
普通ではない。どうすればいいのか
僕にはわからなかった。
ふと、名案がうかんだ。
急いで自分の部屋に戻り、ヘアードライヤーを
持って来て、電話機にしばらく温風をあてた。
しかし、よくよく考えればこんな事をしても
治るはずはない・・・
ビールをかけられたのだから・・・
しかし、もしかしたら・・・なんて思いで
電話線と電源コンセントにプラグを差し込んだ。
ほんの数十秒で、煙が出て来たので
「やばい!」と思い
急いで、コンセントを抜く。やっぱ駄目だった。
「あたりまえだよな」と独りごとを言う・・・
しょうがない、新しいのを買ってくるしかない
しかし、今は事務所を開けるわけにはいかない
夏凛さんが、次に何をしでかすか
わからないからだ。
僕も、どうしていいか分からず、
また矢板さんに携帯で電話をする。
矢板さんが電話に出てくれた、
現状の夏凛さんの状態を細かく報告する。
すると、直ぐに夏凛さんの携帯に
電話してくれることになった。
矢板さんも、少し照れくさくなっていて
夏凛さんには電話をしていなかった
ようだ。
電話を切り、矢板さんが夏凛さんに電話を
かけてくれるのを待つことにした。
数分後、夏凛さんの部屋の中から
変な着信音?が聞こえた。
矢板さんが電話をしてくれたようだ。
また暫く様子を見る。
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「私、どうしちゃったんだろう、
あの日から、なんか変。あの時のことを
思い出すと唇が熱いし、鼓動が激しくなる。
角之進のバカ!いきなり、あんなことして
どうしてくれんのよ!
あれから、何も言ってこないし
あのキスは何だったの!
角之進の大馬鹿野郎〜〜」
「♪じ〜んせい♪らっくありゃ♪
♪く〜もあるさ〜〜♪
角さんも聞きなさい、
助さんも聞きなさい、
この門どころが目に・・・」
「あっ!電話だ、誰?・・・
角之進だっ!!!
出ようか、やめようか、どうしよう!!」
暫く電話をみつめていた。そして、通話ボタンを押す。
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