吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  弍 夏凛誘拐される

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「何だ?今の音楽?携帯の着信音? 夏凛さんの携帯? 「水戸○門」の主題歌? かっちゃんが、角之進だから 「水戸○門」なのか? 夏凛さんも、可愛い所あるんだな、 でも、助さんはもしかして僕? 御老公が夏凛さん?・・・ いつの間に、こんな着信音に したんだ?・・・・・・ そんなことより、早く出ないと 夏凛さん!早く!!・・・ んっ?出たか?」 ************** 「もしもし、夏凛です」 「夏凛か?僕だよ、すぐに電話しないで ごめんな・・・・・・聞いてるか?」 「・・・聞いてるよ」 「今の仕事が終わったら、君の所へ 行くから、もう少し待っていてくれ わかったか?」 「うん、わかった、待ってる」 「じゃあな、1週間くらいで仕事を片付けて そしたら必ず行くからな待ってろよ」 「プープープープー」 「何よ!一方的に話して切るなんて!・・・ でも・・・・・・」 **************** 夏凛さんの部屋のドアに近付いて 聞き耳を立てていたところに いきなりドアが開いておでこに 「ガンッ」とぶつかってきた。 「痛っ!!!」 「何で?缶助、こんなにドアのそばにいるんだ?」 「夏凛さんが、心配でつい・・・」 「そうか、悪かったな心配かけて、 でも、もう大丈夫だよ。ごめんな、缶助。 ・・・・・・ねえ、かんちゃん」 一瞬、背筋に悪寒が走った。 夏凛さんがいきなり、かんちゃんと呼ぶときは 決まって、何かがある。 「な、なんでしょうか?」 「電話機、買いに行こうか・・・ 壊れちゃったから」 変なことじゃ無くホッとした。 (壊れたんじゃ無く壊したんでしょ)と 言いたかったが・・・ 「そ、そうですねすぐに買いに 行きましょう!いつ電話が来るか わからないですから」 そして、近所の大手の電気屋さんに行き 電話機を購入した。 店員の言うがままに、色々と機能が付いた FAX付きで子機も2台付いた電話機を進められ 夏凛さんはそれを買ってしまった。 税込みで5万円弱・・・ そんな高いのいらないのに、電話など 1日に1回かかってくるか来ないかなのに・・・ しかも、FAX付うちの事務所では一度も必要に 迫られたことなどなかった。 でも、それを購入して事務所に戻る。 夏凛さんは、車の中で 色々と言い訳していた。 「電話機が調子悪かった」とか 「買い換えようと思ってた」とか 僕は 「もう、ビールなんか電話機に 飲ませてはダメですよ」 そう言ってやった。 夏凛さんが小さな声で 「ごめん」と言っていた。 反省しているようなのでそれ以上は 言わなかったが、矢板さんからの 電話でこうも変わるとは・・・ 本当に子供みたいな女性だな と、心底思った。 事務所に戻り電話機をセット。 電話機の液晶画面が大きく見やすいのだけは 僕の中で良しとする、ただ一点の好感が持てる所だった。 電話機を接続すると、すぐに電話がなった。 きっと、さっき電話をくれた人か? と考えながら電話に出た。 「はい、『呑辺 探偵事務所』です」 そう言うと、相手が 「所長さんはいらっしゃいますか?」 と言ったので、 すぐに夏凛さんと代わる。 「はい、お電話代りました、 所長の呑辺と申します。 どんな、ご用件でしょうか?・・・ ・・・はい、・・・・・・事務所では ダメでしょうか?・・・・・・ そうですか、わかりました。 駅前のコーヒー喫茶「シャルル」に 3:00ですね。 それで、依頼内容は・・・・・・ そうですか、ではその時に・・・ はい、失礼します」
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