吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  弍 夏凛誘拐される

7/22
前へ
/22ページ
次へ
「いえ、知りません・・・それでこの男性は 何処の人だか調べはついているんですか?」 「それが、へっぽこ探偵はそこまで 調べられなかったんです、それであなたに お願いします、その男の身元と完全なる 証拠を掴んでほしいんです。 今、ここに10万円あります、残りは 確固たる証拠を掴んだのちにお支払いします。 いくら、掛かってもいいですから、 お願いします 引き受けて頂けないでしょうか」 田所氏の説明が終わった。 「わ、わかりました。お引き受けします」 「今日も友達と買い物をして食事をしてくる と言っていました。多分、その男と 会っているんでしょう ・・・そうそう、へっぽこ探偵が男の車は 大きなRV車に乗っているそうです、色は 紺色の車らしいです、へっぽこ探偵の情報は ここまでです、アッと!そうだ!先程家内から 電話がありまして新宿で映画をみていくから、 ちょっと帰りが遅くなるかもと 電話が入りました。 その時に電話口に、何だか工事でもしているのか、 大きな杭打機の音が聞こえていました」 「そうですか、解りました。お引き受けいたします この写真はお借りしていて宜しいでしょうか?」 「はいどうぞ、使ってください」 「それで、ご連絡はどうすれば?」 「この名刺に書いてある、電話番号にください」 「わかりました、取り敢えずこのお金、今は いりません、この件が明らかになった時に ご請求しますから」 「そうですか、よろしくお願いします」 男性が、席を立ったのか、椅子を引きずる音がして 「それでは」という声を最後に録音器が無音になった。 この間の時間は30分もかかっていない。 このあと、夏凛さんは何処かにいったに違いない。 何処に行ったのか・・・・・・ 「そうか、田所氏が言っていた工事現場を まずは、確認してみるか」 僕は、急いで都内の工事現場を調べてみた。 ネットで杭打機を使用している、工事現場はどこか 調べる。 新宿付近から見てみると、新宿区の中で一か所 工事しているところがあった。 今の時刻は、5:30分。 急いで、その場所をナビに登録して急行する。 ラッシュの時間帯と言うこともあり、 かなり時間が掛かった。その場所は、 新宿区の外れの住宅街で、これといって ホテルなども無い普通の住宅街だった。 夏凛さんは何処に行ってしまったんだろう、 この辺をぐるっと回って、様子を見たが これと言って変わったところはなかった。 いつまでも此処にいてもしょうがないので、 事務所に戻ることにした。 もしかしたら、タクシーとかで帰っている かもしれない。ていうか、帰っていて欲しい。 そんな願いを込めてNSXのアクセルを踏み込む。 車は物凄い加速で走り出す。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加