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授業中、あたしはだんごを見ていた。だんごは天井を見たり、自分の爪を見たり、ランドセルを叩いたり、忙しなく手を揉んでいたりと、一度も落ち着いたことはなかった。晴生はちょこちょことだんごを気にして、でも些細なことは気にしなかった。晴生らしいといえば晴生らしい。
あたしはだんごのお世話係なんて大したことないと思っていた。みんなが言う「かあいそうに」とは思わなかった。あたしは慣れている。もし、「かあいそうに」と自分が思うのならば、それは家でも学校でも同じことをしなければいけないことについてだと思う。
だんごは三年生のときに暴れた。
あたしは違うクラスだったから聞いたのは翌日だった。梶田流星がだんごに机で殴られたらしい。それを聞いたとき、胸が張り裂けるような恐怖をおぼえた。だんごはいつも「あー」「うー」と声を出しているから低学年のころから怖かった。暴力も起こすんだ。それからあたしははっきりとだんごを警戒するようになった。
同時にだんごには「お世話係」といういわゆるお付きの者がつくようになった。お世話係はさぞ怖いだろうな。自分にお世話係が回ってきませんようにと祈っていた。
結局は願いむなしくお世話係が回ってきたわけだが、あたしのだんごへの印象は三年生のころとは多少違っていた。
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