1 竹内安吾

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 体育の日は座っています。  校庭での体育のときは校舎と体育館をつなぐ渡り廊下で体育座りをします。体育館ではすみっこで体育座りをしています。これがぼくの体育です。  みんなはピッと笛が吹かれれば整列します。ピッとまた笛が吹かれれば、跳び箱をとんだりしています。体育では身体を動かすことが学びとなります。ぼくは体育座りだけで身体を動かしません。何も学ばない五十分になってしまいます。それはよくないです。  よくないのは分かっていますが、ぼくは運動ができません。みんながしている運動と同じことをやっていますが、同じことではないのです。  あははと笑われているうちは良かったです。みんながぼくの運動をひまそうに見るようになりました。ぼくはなんとかしようといっぱい汗をかきました。そうするともっと上手くいかなくなります。ついに足手まといだと言われるようになってからは運動自体ができなくなってしまいました。身体がかたくなって動かなくなりました。  それからは体育の時間がスムーズになりました。足手まといがなくなったからです。それでよかったのだと思います。
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