1 竹内安吾

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 熊沢先生が落ちていた消しゴムを拾ってぼくの頭を撫で、安永さんの頭にぽんと手を置き、最後に晴生くんの頭に手を添えて、ごめんなありがとな、と言いました。ぼくは手をこすり合わせて戻ってきた消しゴムを手に取りました。  ぼくは間違った文字を消しゴムで消しました。強さの加減が下手なぼくですから、なかなか濃い字は消えません。それでも字は何とか消え、ぼくは正しく書き直すことができたのでした。  ぼくは悲しくなりました。もう五年生です。はみだしたくないのに字ははみ出します。ぼくが書く字は力が入りすぎて消しにくいです。ずっとぼくは直したいのに治りません。消しゴムも落としたくないのに落ちてしまうのです。だからぼくにはお世話係がつくのでしょう。お世話係の晴生くんに迷惑をかけ、安永さんに疑われました。ぼくはずっと治りたいのです。 「だんご、気にしなくていいぞー」  晴生くんがハイタッチをしようと手をかざしてくれました。ぼくは思いきり晴生くんの手のひらを叩いてしまいました。 「いってーよ、だんご」  そう言って晴生くんは歯をにっと出しました。  ぼくは晴生くんや今までお世話係をしてくれたみんなに迷惑をかけます。悲しいです。でも、ぼくはお世話してもらえてみんなと一緒にいられるのです。嬉しいです。  ネムも同じ気持ちなのでしょうか。
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