腹黒ピアニストは年上メイドを溺愛する

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 パシャン、と水をかけると坊ちゃまは焦ったように慌てている。可愛らしい、こんな顔も出来るんだと思って笑うと、今度はバシャバシャと音をたてて私の方へ近づいてくる。 「景子、もうちょっと深いところに行くぞ」 「キャッ!」  いきなり腕を掴まれると、私は深い所へ連れて行かれた。顔にかかる海水をペロリと舐めると塩辛い。身体が浮く感じもプールと違い、腰までつかる頃にはもう怖くて私は坊ちゃまに縋りつくように身体をくっつけた。 「景子……」  欲望を瞳の奥に灯した坊ちゃまは、向かい合うようにすると私の両方の頬をもって、口づけする。何度もついばむようにキスをした後は、ツンツンと舌でつついて口を開けろと合図する。期待してそっと開けると、坊ちゃまの遠慮のない舌が入り込んで来た。波の音をバックミュージックに、海に漂いながら私たちは長い間舌を絡ませるキスをした。日差しがちょっと、眩しかった。 「キャッ、キャァァ——ッ!」
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