腹黒ピアニストは年上メイドを溺愛する

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「景子、僕に食べさせろ」  坊ちゃまは十四歳と聞くけれど、随分と身体が大きい。本当はこんなに密着してはいけないと思うけど、頼まれるのだから仕方がない。豪奢な日本家屋のお屋敷にある一室で、メイドの私は彼をいつものように甘やかしている。 「はい、坊ちゃま、あーんっ」 「あーん」  私を胡坐をかいた足の中に座らせて、食べさせてもらうのが好きらしい。わがままばっかり言うけれど、思春期の今、こうして素直に甘えられる存在があることが大切なんだろうな。それが私だってことに、ちょっとビックリ。  座卓の上にある切り分けたリンゴを口に運ぶと、まるで餌付けされた小鳥のように口をパクリと開ける。最後に私の指までちょっと舐めると、長いまつげをそのままにして、舌なめずりをするように自分の唇を舐める。その姿をみると背筋をゾクリとした感覚が這い上がり——、ちょっと、十四歳にしては色気がありすぎる。
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