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坊ちゃま、玉造洋平様は日本でも有数な玉造財閥のご子息様。上にもう二人もお兄様がいるから、ご自身は音楽に夢中になってもいいらしい。十四歳にしては大人の男性のように背も高く声も低い。今はピアノに夢中で学校にも行かずに籠って練習ばかりしている。
少し伸ばした黒髪を耳にかけて、ピアノに向かう時は背筋をピンと伸ばし、その美しくすらりと長い指で音を奏でる。普段から黒い服ばかりを着ているけれど、その下には薄くぴっちりと筋肉のついた身体をしているのを、この前身体を拭いた時に知った。演奏には体力が必要だから、って言っていたけど、私が「筋肉が好き」とふと漏らしたらトレーニングの時間を増やされていた。
坊ちゃまは御曹司としてこの上ない身分の方だ。本来ならば、血流が脳にいかずに胸にいってしまい、おっぱいがメロンのように育ってしまった私なんぞがお世話出来る方ではない。けれど、半年前に雇われたその日に挨拶に伺うと、私を一目見た坊ちゃまは目を見開いて言われた。
「須藤景子は僕専用メイドにする」
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