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どうやら、思春期に入りわがままいっぱいになった坊ちゃまのお世話係が必要となったらしく、来たばかりの私が専用メイドとなってしまった。こう見えても家政婦専門学校を出ているから、お世話なら何でもできます! と言った私が間違っていた。
「景子は僕の世話だけすればいい」
「景子は僕に癒しを与えるようにしろ」
「景子は僕以外の男を見るんじゃない」
と、だんだんと要求がエスカレートしてきて、今ではピアノの休憩時間になると、お膝に跨るように言われてしまう。今もそうだ。
そして坊ちゃまは私の身体をまさぐるように触ると、いたずらっ子のような顔をしてニタリと笑う。
休憩時間が終わると、また坊ちゃまはピアノに向かわれる。私は邪魔にならないように、そっと扉の外に出て自室に戻った。
*****
初めて彼女の姿を見た時、僕に雷のような衝撃が落ちた。そして堕ちた。彼女は僕の思い描いていた理想の女性、そのままの容姿をしていた。須藤景子、二十歳、未婚。
「須藤景子は僕専用メイドにする」
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