腹黒ピアニストは年上メイドを溺愛する

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 私は何もしていないのに、砂に埋もれた足がこそばゆい。反対に波が引いていく時は、またスピードを上げて奥へ奥へと誘っていくようで、ちょっと怖い。冷たい海水に少し慣れた頃に、ようやく坊ちゃまを見ると私のはしゃぎっぷりに呆れているのか、腕を組みながら私の方を見て立っている。  ビキニを着るのは恥ずかしかったけれど、ここは外から入り込めないようになっているプライベートビーチ。坊ちゃましか見る人はいない。さすが玉造財閥の別荘である。私はそーっと手を海の中に入れて、その感触を馴染ませていく。  あれ? 坊ちゃまが私の方を向いて、顔を赤らめている……! あっ、これかしら? 私はちょっと俯いて、胸の谷間を強調するように腕をつかっておっぱいの肉を寄せると、やはり坊ちゃまはそこをガン見している。  坊ちゃまはもうすぐ遠い外国へ、ピアノ留学されると聞いた。だから、きっと思い出づくりに海に来たかったんだろうな。引きこもりだから、友達いなさそうだし。だから、私が目いっぱい一緒になって、遊んであげなくちゃ。 「ほら、坊ちゃまも来てください! 冷たくて気持ちイイですよ!」
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