保育士梨花

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保育士梨花

梨花は大学を卒業して、アルバイトをしていた保育園に就職をした。 学んだ学部は違うが、中田園長に梨花の素質を認められ、保育士になるよう勧められ試験を受けた。 梨花も働く女性の力になりたい、ライフワークにしたいという思惑が合致した。 自由奔放な行動で園児には大人気だが、父兄から度々苦情がきていた。 子供が家に帰って部屋に上がったら、砂だらけだった。梨花先生と砂掛けをしたと言っていたが、家が汚れて困る。やめて欲しい。 休日に新聞紙を丸めて父親に挑んだらしく、暴力行為をやらせているのか? 等々。 砂遊びでは、ついつい梨花も一緒になってキャ〜キャ〜言って砂を掛け合ってしまった。子供達は大喜び。 新聞紙は、剣道を真似てきちんと礼をしてから一本ずつ打ち合わせていた。 礼儀をちゃんと教えたと思っていた。 何が何でも暴力と捉えるのはどうなんだろう? 園児にはまだ、早かったのか? 遊びながらも感性を育てたいと。 園長先生からは気にすることはないと言われたが、唯一園長先生から、注意されたことで納得したことがあった。 園児の家庭に個別に深入りしないこと! 奥さんを亡くしてシングルファザーになった保護者に、出張のとき私で良ければ預かりますと言って、向日葵で1日一人の園児を預かったことがあった。 園児は嬉しくて、翌日皆んなに梨花先生のお家に泊まったと触れ回っていた。  園長先生に1人の園児に特別なことをしてはいけないと叱られた。 保育士失格であった。 そして、それは梨花の運命も変えてしまった。
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