32人が本棚に入れています
本棚に追加
スマホの画面に笑顔で写っていた4人の1人は、まぎれもなく梨花だった。
翔太の知っているGパンにTシャツでなく、エレガントな淡藤色の総レース生地のワンピースで、落ち着いた雰囲気をかもしだしていた。
綺麗になり、大人の落ち着いた淑やかさに嫉妬した。
「結婚すると落ち着いた雰囲気になるな」
「うん? 誰が結婚した?」
「梨花、結婚して子供いるんだろう?」
「はぁ? 梨花が? イヤイヤ! 結婚なんてしてないぜ! ましてや子供? ナイナイ! ハッハッハ! 何言ってんの? 今彼氏いないけど募集もしてませんっ! て誘いを断わられた。相変わらず固いよな!」
「結婚してない? ホントだな?」
「あ〜あ! 本人がきっぱり彼氏も旦那もいないって言っていた」
翔太の目の前の鉛色の雲がサァ〜と引き、紺碧の空が現れた。
梨花は結婚もしていなかったし、子供もいなかった。
自分の勘違いの馬鹿さ加減に呆れ、加藤の言葉に感謝した。
今から一刻も早く会いに行きたい、しかし今日はもうこれからでは遅く迷惑になるし、明日出張もある。仕方ない。
帰ってきたら直ぐ会いに行こう、向日葵へ!
衝撃のデコキッスから10年経っていた。
今度は必ず何があっても、本人に会って自分の想いを伝えよう! と固く決心した。
最初のコメントを投稿しよう!