奇跡の再会

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奇跡の再会

その日の明け方まで雨が降っていた。 朝、南の窓を開けると、薄っすら虹が架かっていた。 「母さん! 見て! 虹、虹が出てる」 「ほんと、昨日までは雨が凄かったからね。今日は気持いい日になるね」 母娘で、何かを願うように遠くの空を見つめていた。 「今日は、お散歩日和だね。午後からちょっとお買い物してきていい?」 「土曜は、ランチが終われば暇だし、ゆっくりしてきなさい」 同じ頃、翔太は出張の大阪からの帰途、新幹線の車窓から、同じ空を梨花に会える期待と不安を抱きながら眺めていた。 (あっ! 虹! 今日はきっと良い方向になる! 信じよう!) 家に着き、梨花に渡そうと思ってしまい込んでおいたネックレスを、机の奥から探し出した。 一度は投げ捨てようとしたアクアマリンのネックレス。 大事にポッケットに収めた。 久しぶりに会うハルさんにも何か手土産を持っていこうと、一人暮らしのワンルームマンションから1駅の渋谷に寄った。
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