奇跡の再会

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翔太は、手土産にGODIVAのチョコレートと黄色バラの花束を買った。 (大丈夫! 大丈夫! 梨花はきっと待っている) そう自分に言い聞かせて、向日葵に向った。 梨花は、渋谷のビルの屋上にあるカフェテラスで、爽やかな秋風に吹かれながら友人とお茶をしていた。 デパ地下で買い物してから帰るからと友人と分かれ、スクランブル交差点に向った。 1回の青信号で、1000人以上の人々が行き交う渋谷のスクランブル交差点。 その人混みの中を道玄坂方面に向う梨花。 同じその(とき)にスクランブル交差点を逆方向の駅に向かう翔太。 翔太がふと空を見上げると、交差点の大勢の人の波の中にふわぁーと、一筋の光が降りてきた。 その柔らかな光の中にいたのは、梨花! 周りの景色はぼやけていたが、梨花だけにスポットライトのように光が当たっていた。 無意識のうちに 「リンカ〜!」 大声で叫び、梨花の元へ吸い寄せられるように走り出した。 梨花も翔太と遠くですれ違っただけだが、はっきり声を聞いた。 「翔太? 翔太だよね? どこ? 何処にいるの?」 振り返ると翔太が走ってくるのがスローモーションのように目に入った。 梨花も人をかき分け、翔太の元へ走り、手を差し伸べた。 その手をしっかり翔太が取り、胸の前まで引き寄せ抱きしめた。 「リンカ〜! 会いたかった!」 「翔太! 翔太だよね! 夢じゃないよね?」 「あ〜あ! 夢じゃない!」 ふたりは交差点の真ん中で、しっかりお互いの温もりを確かめた。 (母さん! 翔太に会えたよ! これってお互いに想い合って会えたってことだよね? 翔太の傍にいるのは私だけだよね? だつて、私の手をちゃんと、とってくれた。 誰にも邪魔されずに・・・) おわり
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