新しい旅立ち

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教室に、担任がやって来て、これから入学式のために体育館へ行くので、男女別背の低い順に並ぶよう指示され急いで廊下へ出た。 私は多分女子の最後だと思い、最後尾に待機した。 隣・・・・また、あいつ! どこまで付いてくるんだ! 並んで体育館へ向かった。各学年は4クラス。 拍手に迎えられて入った1年の最後のクラス4組のそのまた最後が、私とあいつ! 演壇に平行に男女別に座った。 真後ろからのあいつの視線が気になる。 入学式が無事終わり、教室へ戻ってくると案の定 「お前ってつむじが2つあんのな!」 「うるさい! 2つあって何が悪い? それから、お前って呼ばないで!」 「つむじが2個あるやつは、頑固者で気が強いって! 当たってるだろう? ハッハッ! それから・・・お前って呼ばれるのが嫌なら・・・梨花(リンカ)? これで呼ぶから!」 私はムッとして、机の名前を確認して 「なら、翔太(ショウタ)? って私も呼び捨てにするからね! いいのね!」 「別に、いいよ!」 へっ? いいの? 何か妙な感じ・・・ そうこうしている間に、保護者も教室に移動となり、これからの細かい注意事項を担任から説明され、その後先に教室を出て行った。 女子の保護者は、ほとんどが校門て待っているからと言って教室を後にした。 母さんが傍に来て、 「店開けたいから、先に帰るね。梨花、方向音痴だから、ちゃんと気をつけて帰ってくるのよ!  いいわね!」 「分かってるわよ!もう〜、早く行って!」 と、言いかけた途端、「ブハァ!」とあいつが笑った。 そこへよせばいいのに、母さんは 「この子、友達とTDLの帰りに、目の前に来た電車に慌てて乗って、反対方向の千葉に1人で行ったことがあったのよ。一緒に行った子が止めようとしたけど、間に合わなかったって! まったくね〜! おっちょこちょいでしょ?」 「やっぱり! おっちょこちょいなんだぁ〜! ハッハッハ!」 何故か、母さんとあいつが2人で笑い合っている。何だこの状態は? そこへ品の良さそうなおばさんが 「私も方向音痴で、ここから駅まで1人で帰れるかしら? 心配だわ・・・」と、言ってきた。 「じゃあ、私も帰りますからご一緒しましょう」 と、母さんが言うと、 「すいません! 俺のおふくろなんです。俺一緒に帰れないんで、宜しくお願いします」 えっ〜? またまた、よくわからない状態に・・・・ あいつのお母さんと私の母さんが、2人で仲良くお喋りしながら帰って行くって???
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