つばめ

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つばめ

今日から授業が始まった。 「おはよう!」 誰に言うでもなく、最初が肝心と大きな声で、元気よく挨拶して教室へ入った。 机に向かうと、あいつ翔太が二指敬礼ポーズで挨拶をしてきた。 私も二指敬礼ポーズで応答した。 ここから翔太との毎日の挨拶はこれで決まりとなった。 席について、ふと横の窓を見ると、ツバメが飛び交っていた。 目を凝らして見ていると、正面の校舎を行ったり来たりしている。 飛び交うツバメに見とれていると、いきなり 「おい! 何? 俺に見とれてるの?」 「はぁ〜? 自惚れもいい加減にしてよ! 伏せ! ふ〜せ〜!」 「えっ? 俺? 犬?」 「そう! 私、窓の外が見たいの! だから伏せ!」 翔太は机に伏せながら顔を窓側に向け 「なんかあるのか?」 「ほら! あそこ! ツバメが飛んでるでしょ! 可愛いよね」 「ほんとだ! ツバメだ! あっ! あそこに巣があるぞ!」 「えっ? 何処?」 慌てて翔太越しに外を見ようと立ち上がると、向かいの校舎の窓の下に巣らしき物が見えた。 「ねえ? あっちの校舎って何の部屋かな?」 「特別教室だったような?」 翔太が顔を上げようとしたとき、 「俺、このまま顔上げたら、梨花の胸に激突しそう! デコの次は胸って言うのもいいかなぁ〜!」 「ギャッ! やめてよ! 変態!」 翔太、絶対デコ事故思い出させようとしてる。 翔太の頭をピシャリとはたいて、席に着いた。
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