向日葵

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向日葵

川原からまた2人乗りして、私の家、小さな喫茶店、向日葵に着いた。 ここで、サヨナラしようとしたら、 「俺、腹減った。梨花のとこで昼飯食べていっていいか?」 「えっ? うち来るの? 一応客商売だから、来る人は拒まないけど・・・」 と、言うと翔太はサッサと中へ入っていった。 「いらっしゃいませ」と、母さんのいつもの威勢の良い声に、 「ただいま〜」と私が発する前に、翔太が言った。 あれ? という顔して母さんが 「誰だっけ?」 「昨日はおふくろがお世話になり、ありがとうございました」 あ〜あ〜という顔して 「お母さん無事帰れました?」 「はい! 無事帰還しました」 2人が笑いながら会話している間に、店の2階が住まいになっているので、私はトントンと上がって着替えをした。 着替え終わって店に出ると、カウンターでアイス珈琲を飲んでいた翔太が 「あれ? そのTシャツ米○○師 ユニクロ コラボのピンク猫ちゃんだよな?俺、ホワイト 猫ちゃんの方買ったぜ!」 「嫌だ~! 翔太とペアなんて! ここに絶対着てこないでよ!」 不満そうにズッズッズッズッ~と、音を立てて飲み干し 「ペアでも別に良いじゃん!」と小声で言ってきたから 「ペアの相手は私じゃないでしょ!」と、また頭を叩いてやった。 ホント何考えているのやら???  まっ、また来ることはないだろうから気にすることでもないし・・・とその時は思った。 昼ご飯は焼きそば。翔太は大盛を美味しそうに食べていた。 私は急いで食べて、会計にまわった。ランチタイムは結構お客が多い。 バタバタしていると、翔太も食器を回収したり、テーブルを拭いたりして手伝っていた。 へぇ~! 意外と気が利くんだ! と、見ていると、二指敬礼ポーズをして私の方を見ていた。 焼きそば代は要らないと、母さんが言ったので、お返しに手伝ったらしい。 「無銭飲食は警察行きだからね!」 と言ってやったら、 「じゃあ、手伝えば焼きそばいつもタダにしてくれる?」と、笑って 「また来る!」と扉の前で、また二指敬礼ポーズして帰って行った。
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