翔太の思い

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翔太の思い

俺は、中学では都大会まで出たことのある強豪校の、バレー部のエースだった。 受験が終わり、部活もなく暇になった2月の下旬に、酒井 麗(さかい れい)という同じ学年で、さらに同じ高校に通うことになった中学でも1、2を争う可愛い女子麗から告られた。 彼女のことは、クラスが別だったので、あまりよくは知らなかったが、大抵の男子は可愛いと憧れていた。 そんな彼女から、告られれば悪い気はしないし、高校生になったら、彼女の1人もいても良いかな? くらいの気持ちで、OKした。 初めて、デートらしい行動で、春休みにお台場に行き、雑貨屋や服屋で、あれこれ見て回る麗の後をついて歩いたが、面白くもなく退屈だった。 女のご機嫌取りのデートって、俺には向かないなと、その時つくづく思った。 男同士でバカやっていたほうが絶対楽しい。 そんな俺が、高校で出会ったちょっとおっちょこちょいな変な女子が、気になって仕方がない。 いきなり俺の口にデコぶつけてきたり、席がないと騒ぎ出したり、ツバメが心配だと糞の後片付けしたり、面白い奴だと・・・ ただ、厄介なことに麗と俺とあいつが同じクラスになった。 やたら、麗がベタベタしてくるのが鬱陶しくなってきた。 どうしたもんか? 麗とは別のクラスだったら、適当な時期に自然消滅かと思ったが、思うようにはいかないもんだ。
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