義弟side

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義弟side

俺の裸に欲情した? あのモテモテの亮にぃが? 3歳違いで中学も被らないにも関わらず、亮にぃのモテぶりは伝説だった。 だから俺は、鼻高々で。 俺もそこそこモテるから、タイプは違えどやっぱり兄弟だなって。 義理だけど嬉しかった。 亮にぃと同じって言われて。 女の子に告られても何も感じなかった。 男の子にも告られたけど、同じく。 丁重にお断りしていた。 けど、一人だけ…心が動いたのは。 今年の新任で若い数学の男の先生。 だってさ…亮にぃと同じサッカーしてたって…日焼け具合とか、身体つきとかそっくりだったんだ。 その三宅先生にいきなり抱きしめられた、亮にぃに抱きしめられてるような錯覚に陥入る。 亮にぃが無理ならこのままこの人に…って けど…耳元で囁かれた。 【俊…可愛いよ】 これが違ったんだ。 亮にぃのは、もっとこう…愛がこもってるって言うか、弟への愛がこもってるっていうかさ。 先生のは、違った。 俺に欲情しただけの…ただそれしかなくて、嫌悪を感じた。 ピピピピピ そこで俺の携帯が鳴る。 【りょ…亮にぃ?】 【俊?どうした?大丈夫か?】 【うん、なんでもないよ】 【そうか?今から迎えに行くから、校門で待ってろ】 【わかった。後でね】 プツ… 【先生、ごめんなさい…兄が迎えに】 【ああ、あの有名な?ブラコンなんだな】 【うん…お互いにね。じゃ、さようなら】 「亮にぃ!早かったね」 『俊…何があった?』 亮にぃが肩を優しく抱いてくれる。 「ふふ、なんでもない。ただ先生から、ブラコンだなって」 『お前から、知らない香水の匂いが…クソっ誰だ?』 「亮にぃ、大丈夫。何もされてない…告られて、ちょっと抱きしめられただけ」 『はぁ?抱きしめって…お前な…俺以外に触らせんな』 「うん、わかってる。わかってる…けど…(寂しいんだ)」 『帰ったら、即シャワーだ』 「一緒に?」 『バカ!』 「クスクス、亮にぃ顔真っ赤」 『兄貴を揶揄うんじゃねェ』 この距離で充分だったのに…この熱を知ってしまったら…もう戻れない。 近くにいられないのならいっそ、遠くへ。
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