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例え成人したアリスが目の前に現れたとしても、わかるはずがない。
そう画面の向こうに伝えると、ジャックは封筒の中からあるものを取り出して掲げて見せる。
それはどこか陰のある美少女の、紙焼きの写真だった。どことなくエドワードの面影が見て取れる。
──ショーン未亡人が送ってくれたデータをプリントしたんだ。ハイスクール時代のアリスらしい──
どうかな、見覚えはないかい、と言われ、キャスリンは画面を穴の開くほど見つめる。
けれど、しばらくして目を伏せ、首を左右に振った。
「ごめんなさい、思い出せない。あの時私、まともな精神状態じゃなかったから……」
彼女の返答に、ジャックは目に見えて落ち込んでいるようだった。
──そう……だね。自分の命が危ういときに、冷静に周囲に気を配るなんてできないな。申し訳ない──
画面の向こうで肩を落とすジャック。
そんな彼にキャスリンは疑問をぶつける。
「でも、どうしてショーン未亡人は届け出をしないの? 然るべき捜査が入れば、もっと早くに連れ戻すことは……」
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