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そして、暁龍はインターホンを鳴らした。
「アダムス博士、お呼びでしょうか? 」
呼びかけに応じるように、白い扉は静かに開く。
両者の姿を認めたキャスリンは、彼らに対して座るよう促した。
「突然呼び出してごめんなさい。あれからI.B.の動向は?」
机の上には、今ルナで流行りの菓子が置かれている。
これはキャスリンがジャック同様、二人を『ヒト』として扱っていることの証だろう。
ポットからコーヒーを注ぎ分けると、キャスリンは二人の前にそれを置く。
暁龍がお構い無く、と言うよりも早く、楊香は既に菓子へ手を伸ばしていた。
その様子に小さく舌打ちをすると、暁龍はキャスリンに向き直る。
「表面上は沈黙を保っています。上も、このまま自然消滅するのでは、と楽観視しているようです。ですが……」
首魁サードの直弟子と言って良い通称Ꭰが、まだ確保されていない。
あいつがいる限り、I.B.は消えないと思う。
そう言う暁龍にうなずいて見せてから、楊香は言葉を継いだ。
「実際、時折何者かが中枢システムに不正アクセスを試みているフシがあります。私達は残党の仕業だと思っていますが」
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