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言い終えると楊香は菓子とコーヒーを口にして至福の笑みを浮かべる。
暁龍はやれやれとでも言うような視線をそちらに向けてから、キャスリンに問うた。
「で、御用の向きは何でしょうか? まさか茶話会に招待したかった訳でもないでしょう」
言いながら暁龍はキャスリンへ眼鏡越しに鋭い視線を向ける。
どうやら小細工は通用しないと観念したのだろうか、彼女は両者の前にあるものを示した。
言うまでもない、アリスの写真である。
「画像が粗くてごめんなさい。テレビ通話のスクリーンショットをトリミングしたの」
でもあなた達なら補正できるでしょう、と言うキャスリンにうなずいてから、暁龍は写真を凝視する。
「まあそれなりには。……ところでこちらはどなたです? 」
言いながら暁龍は楊香をかえりみる。
当の楊香は菓子を頬張りながらしばしそれを眺めていたが、飲み込むなり口を開いた。
「少なくとも、今ルナでの指名手配犯と届出済み行方不明者、そして行旅死亡者に該当する人物はいないみたいですね。でも……」
あの僅かな時間で、楊香はそれだけのデータ照合をやってのけたらしい。
けれど、驚くのはまだ早かった。
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