──Ⅱ──

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 ごく当たり前な風景なのだが、しかし暁龍は軽い違和感を覚えた。  そう、『亡くなった』エドワードの画像や写真がこの部屋には一切見当たらない。 「おかけになってください。今、お茶を……」  暁龍の思考は、ベス•ショーン未亡人の言葉によって遮られた。  お構い無く、と応じてから、暁龍は楊香と並んでソファに腰掛ける。  やがて三組のカップとソーサー、そしてティーポットが載ったトレイを手にしたベスがやってきた。  ポットから紅茶を注ぎ分けるベスの手は、小刻みに震えている。  それが緊張によるものなのか惑連に対する怒りから来るものなのか暁龍は計りかねていた。  けれど、彼の隣で遠慮とは無縁の楊香がカップを手に取り、にっこりと笑う。 「サンダ産のお茶ですか。今ちょうどファーストフラッシュが出てますよね」 「あの人が好きなお茶でした。あいにく私は詳しくはわからなくて……」  瞬間、ベスの表情がやや和らいだように見えた。  けれど、しばらくするとまだ強張った面持ちで組んだ手元に視線を落としてしまう。  暁龍はじっと先方が話を切り出すのを待つつもりだったが、隣の楊香がそれを許さなかった。
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