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拝見しても宜しいですか、と断りを入れてから彼はそれを手に取る。
破らないように細心の注意を払い手紙を開き、書かれている文章に目を走らせる。
……あたしがママを悲しませる奴をやっつける。誰がなんと言っても、あたしはパパを殺した惑連を許さない……
手紙はそんな言葉で結ばれていた。
丁寧にたたみ直すと、暁龍は手紙をテーブルの上に戻す。
そして、改めてベスに向き直った。
「ありがとうございます。……この手紙でご令嬢がどこへ向かったのか理解された、というわけですね」
けれど、何故二年半も経った今頃になってジャックに連絡を取ろうと思ったのだろうか。
腑に落ちない、という表情を作り暁龍は腕組みする。
それを察したのだろう。沈黙のまま暁龍を見つめていたベスが、重い口を開いた。
「……先日、テラの惑連で事故がありましたよね? 」
その言葉に、暁龍は眉根を寄せる。
テラ惑連で起きた出来事は表向き爆発事故となっているが、実際はそうではない。
I.B.指導者サードに内部侵入を許すという、実に不名誉な事件だったのだ。
その時暁龍はサードと対峙し、不覚にも敗北を喫した。
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