──Ⅱ──

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 部屋の入口で立ち尽くす楊香に声をかけられて、暁龍はうるさげに振り返る。  が、いつになく真剣な面持ちの彼女に、暁龍はその表情を引っ込めた。 「いや、口はつけていない。……何かあったのか? 」 「念の為、成分分析してみたの。……かなりの量の睡眠薬と抗不安薬が含まれてた」 「……何だって?」  それだけ入っていれば、苦くて飲めないはずだろう、そう言う暁龍に、楊香は首を左右に振る。 「サンダ産のお茶は、風味が独特なの。こういうものだ、と思えばあるいは……」  そこまで聞いて、暁龍は楊香を突き飛ばすようにして部屋を出る。  そして階段を駆け下り、リビングへ飛び込んだ。 「ショーンさん! 」  暁龍の目に飛び込んできたのは、ゆかに倒れ付す未亡人の姿だった。  静かに近寄り、注意深く抱き起こすと、息はあるものの意識はない。  彼は未亡人をソファに横たえると、あとから来た楊香に向かい矢継ぎ早に指示を出す。 「車から医薬品……点滴キットを。それとアダムス博士に連絡。飲んだ薬種と量を伝えて処置方法を聞いてほしい」 「わかった」  楊香は身を翻し、室外へと走る。  その後ろ姿を見送りながら、暁龍はショーン未亡人の無事を祈らずにはいられなかった。
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