──Ⅱ──

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「……気が付かれましたか? 」  日が傾きかけた頃、ようやく意識を取り戻したベス•ショーン未亡人に、暁龍は静かに声をかけた。  驚き、慌てて起き上がろうとするその人を、暁龍は片手を上げて制する。  そして、何事もなかったかのように言葉を継いだ。 「我々も、ご令嬢を探すことに手を尽くします。ですからあなたも捜索届を出してください」  返事はない。  溜息をついて暁龍は背後に立つ楊香をかえりみる。  楊香は一つうなずくと、わずかに腰を屈めベスの顔をのぞき込んだ。 「幸い致死量には達していませんでした。一日休めば体調、元に戻ると思います」 「……どうして? 」 「……はい? 」  ベスの言葉に、楊香は首を傾げ、暁龍は無言で腕を組む。  両者の反応を意に介することなく、ベスは両の手で顔を覆い、声を上げて泣き始める。  困ったような表情を浮かべる楊香に対して、暁龍は予想の範囲内だったのか無表情のままだ。  彼は軽く咳払いをすると、淡々とした口調で切り出した。 「……これは自分の憶測ですが、ご令嬢は悲しんでおられると思います。お母上から捨てられた、と」 「何故? 私は……」
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