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思い出
「ウサギさん。どうして泣いているのかね?」
幼い頃、親にはぐれ、ひとりぼっちで泣いていたウサギに、じいさんカメが声をかけました。
「母さんや兄弟と、はぐれてしまったんです。ひとりぼっちになってしまいました。」
「それは気の毒だな。だけど、いつかはみんな、ひとりで生きていくんだ。少しだけ早く、ひとりになっただけさ。泣いてばかりいないで、おいしい草を食べて元気を出そう。」
「おいしい草は、どこにあるんですか?」
「ここは街の中の公園だ。おいしい草を食べたいなら山に行くといい。山には美味しい草が、いくらでもある。」
「山には狐がいます。狐に見つかったら、僕が食べられてしまいます。」
「それじゃ、ワシといっしょに、すぐそこの丘のふもとのドングリの木の下まで、どちらが早いか、かけっこしよう。あそこまで行くと、おいしい草が生えている。」
「わかった。よし、がんばるぞ〜」
「じゃ、準備はいいかな?よーい、ドン!」
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