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雪宮志乃はどちらかといえば、普段はおっとりしているタイプだ。
まだ幼稚園バスに乗っていた頃から彼女を知る、俺の見識に間違いはない。
だが俺は知っている。そんな幼なじみのテンションがバカ高い時は、総じてろくなことにはならない、と。
「あ、ごめんね。つい興奮しちゃって……頭大丈夫?」
「大丈夫だけどその言い方には語弊があるし、そのままそっくり返してやりたいセリフではあるな?」
「やだなー、そんな今さら。昔は一緒にお風呂にも入った仲じゃない!」
「なんで〝興奮しちゃって〟の方を拾った……?」
いや、なんも感じてないっていえばそりゃ嘘になるけどさ……
というか、むちむちの太ももやお尻のダイレクトアタックを食らった健全な青少年が、心乱さずにいられるとでもお思いか?
いつまでも幼少期の感覚を引きずっている幼なじみの、肌触りのいい至福の重みから解放され、ようやく身体を起こすことを許される。
――そうだ。
今日は志乃がこうなるんじゃないかってことも、予想しようと思えばできたじゃないか。
始業に間に合ったのもつかの間、自分の見積もりの甘さに心の中でため息をつく。
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