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「で、なにがあったって?」
立ち上がって制服の汚れを払いながら、一応聞く。
志乃のせいで集めてしまった注目を一身に浴びながら教室に入り、自分の席に着く。当然のように俺の席までついてきた志乃は、待ってましたと言わんばかりに鼻を鳴らして、スマホの画面を俺の目の前に突きつけてきた。
「よくぞ聞いてくれました! これです! これこれ!」
「……SCT財団?」
「あ、違う。間違えた。これっ!」
再度、志乃に見せつけられたスマホの画面に並んでいた見出しはこうだ。
『天使か悪魔か? 青海市蓮華町に奇妙な生物の死体』
「……やっぱそれか」
系統的には訂正前とあまり変わっていないように思えるその文字列を目にした瞬間、正直な反応が自動的に口から漏れる。
「なに、そのつまらない反応」
「そんな不服そうな顔されてもな」
「こういう時は目の色変えてよだれを垂らしながら食いつくのが正常な人間の反応でしょ?」
「正常の定義が激しく揺らぐな」
頬をぷくっと膨らませて口をとがらせる志乃から目を外し、教室中を見渡してみる。
青海市蓮華町。俺たちが住んでいるこの町で起きた事件に、面白コンテンツ大好きの志乃が反応しないわけがない。
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