ラブリー・フレンドシップ!

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ラブリー・フレンドシップ!

「成人式って、絶対出ないと駄目なんかなあ」 「それ何度目よ、雪見(ゆきみ)」 「何度目ダヨー?」  思わずぼやいた私に、親友の寧々(ねね)花林(かりん)は口をそろえて言った。  一月の成人式の日が迫っている。高校の親友である寧々、花林とは同じアカバネホールで成人式に出席することになっていた。その日が近づくたびに、ため息を漏らしてばかりいる私。せっかく家まで遊びにきてくれた親友二人に、愚痴ばかり漏らすのも申し訳ないと思ってはいるのだが。 「だって、私ブスなんだもん」  令和四年から成人の年齢は十八歳に引き下げられたが、私達が住んでいる地域では今まで同様、成人式に参加する年齢は二十歳ということになっていた。多分、そういうことにしないと中途半端な年齢だった人が成人式を経験できないまま終わってしまうからだろう。十八歳の方が若いせいで、余計な騒ぎを起こすかもしれないというのもあるかもしれないが。  ゆえに、既に揃って二十歳になっている私達も来月に成人式に参加することになっているのだが。  問題は、そこで振袖を着ることになっているということ。寧々と花林はどっちも家に振袖があるのでそれを着てくることになっていて、私はレンタルで着物を借りることになっていた。既に、先取りで写真は一枚撮っている。自分としては、一番気に入った色の、一番似合うであろう着物を選んだつもりだったのだが。  上がってきた写真を見て、がっかりしてしまったのだった。お店の人は“可愛いですよ”と褒めてくれたが、私の目からはどう見ても残念なレベルであったからである。それこそ、馬子にも衣装、でさえない。衣装があっても馬子は馬子、である。 「緑色とか、似合うと思ったけど写真撮ったら全然だめだったというか、写真写り悪いだけだと思いたいけどよく見たら鏡で見たときも微妙だった気がしないでもないというか、そもそもやっぱり私顔丸いし横幅もやばいしそれでいて身長低いし体重重いしなんかもう全体的にビジュアル残念でせめて胸だけでもあればよかったんだけどなんというかもう胸の分のお肉の大部分はお尻とお腹に言っちゃってて残念っていうか足も太くてどうにもならな」 「うん、わかった。とりあえず落ち着け雪見。いつものネガティブ発揮しまくりなのはわかったから」 「ううううううううう」  そうやって私を褒めてくれる寧々は、昔からポニーテールが似合うスポーツタイプの美人である。大学に入ってからもバレーボールを続けており、時期エースとして名を馳せるほどの腕前だと聞く。出るところ出ていて、引っ込んでいるところは引っ込んでいる。まさに、私が持っていないものを全部持っている人物だと言っていい。 「雪見ちゃん、ブスなんかじゃないと思うけどー?」  もくもくとお酒のツマミのポテトチップスを口に運びながら言うのは、眼鏡をかけたおっとり少女の花林だ。
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