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「花林もぽっちゃりタイプダヨー?それに、花林のが雪見ちゃんよりちっちゃいんダヨー?気にしなくていいと思うんだけどなー」
「花林は童顔で可愛い系だからいいの!私とは違う!」
未だに中学生くらいに間違えられることさえあるロリ顔で可愛らしい花林と一緒にしないでほしいと思う。
そもそも、先日三人一緒に呼ばれていった、元クラスメートの五月の結婚式(彼女は高校卒業した後大学に行かずに就職し、二十歳を待たずして就職先で出会った男性と結婚したのである)。三人ともそれぞれおパーティードレスを購入して行ったのだが、一番似合っていたのは花林だったのである。まるでピンクの花の妖精、親指姫か何かが現れたかのようだった。ああ、寧々の影に隠れがちだけどあなたも美人さんだったのね、とやや白目になった私である。
それ以来、余計コンプレックスが爆発してしまったのである。
ただでさえ、目立つような場所が苦手な私である。成人式ともなれば、大抵の女子が華やかな着物を着て一生に一度の日を飾るのだろう。可愛らしい友人二人と比較して、明らかに浮いている自分の容姿。大好きな二人の友人まで馬鹿にされそう、そう思うと怖くて仕方ないのである。
「気にしすぎ」
が。びびっているのは私一人だけであるらしい。寧々はそのへんに落ちていた雑誌をまるめてポン!と私の頭を叩いた。
「本当は着物着たかったんでしょ。だから、高いお金払ってでもレンタルすることにしたんでしょ。一生に一度の日なんだから、もうちょっと前向きに楽しんだらどうなのさ。写真見たけど、あたしは普通に似合ってると思ったよ、あんたの着物姿」
「うう、そうかなあ」
「そうそう。あんたが昔から容姿にコンプレックス持ってるのはよーく知ってますがね。この間の藍色のパーティドレスだって充分可愛かったし、もうちょっと物事ポジティブに考えた方が人生楽しく生きられるってもんだよ」
「ほんとほんと。花林もそう思うなー!」
「うう、二人とも……」
浮き沈みが激しく、というか大抵ネガティブに落下してばっかりいる私に対して呆れることなく、いつも前向きに接してくれる二人の親友。彼女達に、私はいつも思うのだ。自分は彼女達に、一体何をどう返していけるだろう、と。私は彼女達に救われているけれど、彼女達は本当に私と一緒にいて良いと思える瞬間があるのかと。
「……ありがと、二人とも」
結局、言える言葉はそれだけ。やや涙目になりながらもグラスを掲げた私に、彼女達は笑ってカツン、とグラスをぶつけてくれたのだった。
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