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4.「君たちは誰?」
フィンレー兄さん、ジュリアス兄さん、どうしていますか?
ぼくはまだ編入して三日目ですが、人間という生き物が分からなくて困ってます。
だってさ、だって、聞いてくれるかな?
なんと、ミツキはこの学園でとても有名人だったんだ。
それを知ったのはランチタイム。あ、そうだ。そういえば、シイナ理事長さんの計らいでぼくはミツキと同じクラスになったんだ。緊張していたからとても有り難い。
ん。それでね、ミツキにランチをする場所を教えてもらう事になっていて、ぼくたちはそこに向かったんだ。ミツキはとても親切で優しい。ぼくが質問すると直ぐに答えてくれる。だから、あまり気にはならなかったのだけれど……レストランに近付くにつれ周囲にいる生徒数も増えていくたび何故か視線も多くなっていた。
大勢に慣れていなくても、どういった視線なのかぼくにだって分かるよ。ぼくは人間ではなく吸血鬼だもの。
ミツキに向けられる好意の視線。そこから、横に並ぶぼくに向けられたのは憎悪の視線だった。憎しみ、怒り、……嫉妬かな?
思えば、兄さんの転移魔法で学園に着いたあの日。ミツキがおごってくれるというので寮の近くのお店に付いていったのだけれど、何度も似たような視線を浴びていたんだよね。あの日はとても緊張していたから気にしていなかったけれど、こういうことだったんだなぁって納得しちゃった。
ミツキは人気者だったんだって。
シイナ理事長さんはこのことを知っているのかな?知っていて、ミツキにぼくのことを頼んだとしたらさっそくどういうつもりなのか聞きに行かないと、なんて思っていた。そうやって、ぼんやり考え事をしていたぼくも悪い。けどさ。
「……あっ、うそ」
「早く食わないと時間がなくなる」
ミツキの手にあるのは二枚のチケット。勝手に他人の食べる物を選ぶなんてひどくない?もしも、ぼくが食べられないものだったらどうするの?
「昨日のでだいたい把握した」
あれ?ぼく、声に出した?
「顔に出てる」
くすっと笑われてぼくは驚いてしまったけれど、それを見ていた周りの生徒たちは興奮していた。
うんうん。早口でちゃんと聞き取れないけれど、ミツキが笑うのが珍しいって?昨日からよく笑ってるのになぁ。おかしな人たち。
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