4.「君たちは誰?」

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 ミツキが選んでくれたのはオムライス。オムレットの中にトマトソースで炒めたお米を入れてるんだけど、これがなかなか美味しい。昨日、ハンバーグとこれと悩んでたからね。さっきは勝手に決めるなんて!ってショックを受けたけれど、今はとても感謝してる。もちろん、ミツキにもありがとうをきちんと言ったよ。お礼はマナーだって兄さんがくれた参考書に載ってたからね。 「やぁ、ニナ!」 「イブキ?君もここでランチ?」  オムライスが美味しくて、つい周囲の声が聞こえていなかった。だから、いつの間にかぼくたちのテーブルの横に人が立っていた事に気付かなかった。イブキには申し訳ないよ。 「そうだよ!ニナが居るんじゃないかと思っ」 「あなたがニナ?へぇ、黒髪なのに目は青いんだ?」 「……君たちは誰?」  イブキの周りにたくさんの人間がいるのは視界に入っていたから分かってた。でも、いきなり声を掛けてくるものなの?しかも、初対面なのにジロジロ見てくるからあまり気持ちが良いものじゃない。ぼくの考え方は古いのかな? 「ああ、紹介がまだだったね!彼らは」 「花屋(はなや)だよ。花屋(はなや) 薫平(くんぺい)。僕は生徒会の会計をしてる」  あ、さっきの。笑ったら愛嬌がありそうなのに、そんな高圧的な話し方だと恐がられるよ。  うーん。黒髪のウィッグだから怪しまれたのかな?本当は眼鏡のほかにコンタクトっていう目に入れる道具があったのだけれど、恐くて無理だったんだよね。 「俺は西(にし) 太真(たいしん)。書紀だ」  こういう人の目をなんというのか知ってるよ!流し目って言うんでしょう?以前、上の兄さんが教えてくれたんだ。えっと、こういう顔の人にはあまり近付いてはいけないって……あっ、どれぐらい離れていたら良いのか聞いてなかった!後で手紙に書いて聞いておこう。 「そして、俺様が市条(いちじょう) 鳴継(なつき)だ。この学園の生徒会長だ」  この人は偉そう。自分に自信があるんだろうね。ちょっと雰囲気が下の兄さんに似ている。まあ、格好良さではぼくの兄さんたちが一番だけど。 「あのね、君たち。さっきから私の話を止めるのを止めてもらえないかな?」 「ふふっ、仲が良いんだね。えっと…クンペイさん、タイシンさん、ナツキさん」  こういう場面はイブキの為に、ぼくもご挨拶しないとね。参考書にもそういうシーンがあったし。  ん?あれ?やけに静かに…… 「いきなり俺様たちを名前呼びかよ!おもしれぇ!」 「名前呼び?」  どういう事?名前って事はファーストネーム? 「ニナは外国人ですよ。貴方がたの方が失礼に値します」 「言ってくれるじゃねぇか」  待って。ねぇ、イブキ、そんなに怒らなくても大丈夫だよ。 「なるほど、そうだったんですね。では、ハナヤさん、ニシさん、イチジョウさんですね」  一応、人の名前を覚えるのは得意なんだ。だって、いつあの子の名前が出てくるか分からないでしょう?  でも、少し不安もある。全員合ってるかな?って向かいに座ってるミツキを見ると頷かれた。  ただ、なんだか驚いた顔をしていたけれど、ぼく何か間違えていたのかな?
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