本編②

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ねぇ、聴いて。 これは、俺と愛しいあいつの物語。 「母さん、ただいま。」 いつものように大学を終えて家に帰ると、玄関に見慣れぬ大きなスニーカーがあった。 なんだか悪い予感がして、 急いでリビングへ向かうと、そこにはあいつが居た。 久しぶりに顔をみた。 高校生のお前は、俺が思っていたよりもずっと男になっていた。 スラリとした身体には確かに筋肉がついていて、あんなに丸かった顔は直線美を描いている。 でも、あの頃と変わらない、 お前のふわふわとした栗色の髪と同じ色の瞳が 俺を駆りたてる。 今まで秘めていた情欲が溢れる前に、どこかへ隠さなければ。 母さんが夜のパートへ出かけて、あいつと2人きり。この状況はよくない。 俺にとってもあいつにとっても。 そう思っていたら、スマホの通知が鳴った。 「今からこれる?」 1ヶ月ほど前に知り合った消防士の男だった。 丁度良かった。報われないこの気持ちを 誰でもいいから発散したい。 「出かけるから...」 はやく逃れたい。 この気持ちから。お前から。
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