フーダニット

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フーダニット

「はうだーにっと?」 私は安楽椅子に座る探偵にたずねた。本を読んでいた探偵がふと呟いた言葉だった。 「How done it どうして犯行に及んだのか?」 探偵の助手となり数年、調査を手伝ってきたけれど、未だにこの探偵がよくわからない。 「わからないんだよ。この殺人事件は、関係者をいくら調べても動機も犯行も不可能なんだ」 探偵は言う。事件はとある邸宅の書斎で社長が殺された。部屋は密室で死因は毒殺。 「『自殺』ですか?」 「いや、『他殺』だ。邸宅を調べたが、犯行に使われた毒はなかった。社長が秘密裏に購入してもいない、毒殺できたのか」 「不思議ですね」 「そうさ。私は考えた。犯人は君だよ。助手くん」 「え?」 「犯人は君だ。私の書斎から、こっそり毒を持ち出し、探偵になりすまし、社長を毒殺した」 探偵はポケットから毒の瓶を出した。 「わからないのは、どうして君がそんな犯行におよんだかなんだよ」 探偵は言う。 「なぜ殺したんだ?」
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