prelude 詠次 1

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「え?…ああ」 この話題続いていたのか。 「やばいとは思ってないけど  ちょっとキラキラかなとは思った」 「グラビアとかやる子ならいいけど、  ここあは正統派で清純路線だから   ダメって言われたの。  ネンパイ者受けが悪いからって」 いじっていたスマホを テーブルの上に乗せると 指のネイルを気にするように もう片方の手で触っている。 「それで《詩織》?誰が付けたの?」 「候補の名前は、  マネとか、企画室の人とか、  社外のごいけん番?の人とか。  でも最後に決めたのは社長」 プライベートでは、 緩やかに時間をかけて 喋るタイプらしい。 「本人には何の相談もなし?」 「ん、いろんな名前で挨拶する  動画撮ったよ。母音の口の形とか  チェックするからって。そのときに  どうしてもイヤとか、  しっくりこないとか、  あったら教えてって聞かれたよ」 事務所が開催する全国美少女コンテストで グランプリをとった逸材だ。 大人たちは、金の卵を孵化させるのに、 準備の手間を惜しまなかったのだろう。
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